今考えていらっしゃる事業は,これまで誰も見たことも聞いたこともない全く新しい事業ですか。それとも同じような事業はすでにあるでしょうか。

 

■その事業は新しい?

全く新しい事業も似た事業が既にある場合も,どちらも事業として成功させるのは簡単ではないのですが,前者の場合,まずはその事業を理解してもらうところから始めなければならないでしょう。 理解してもらうことはなかなか難しいかもしれませんし,時間もかかるでしょう。なぜなら新しいものは比較するものがないため説明を受けた側がイメージしたり,評価するのが難しいからです。 後者の場合,理解してもらうのは早いかもしれません。

しかし,同じような事業がすでにあるということは,ライバルがたくさんいるということです。また,ある市場に自分が新たに参入するという ことでもあります。もし,すでにある事業と同じ事業を始めるのなら,その戦いは厳しいものになるでしょう。同じ事業なら安い方が選ばれがちだからです。これは価格競争を意味します。

できれば価格競争に巻き込まれずに,利益をしっかり確保できる事業にしたいものです。それならば,自分が考えている事業は同業他社とどこが違うのか,どのような価値が提供できるのかを明らかにする必要があります。この点は,金融機関に融資を申請したり,事業の協力者を募るなどの機会に,必ず聞かれるポイントです。ですから,ライバルの事業をできる限り調べ,そのうえで「私の事業は○○が違います!」と自信を持って説明したいものです。

 

■ライバルはどこにいる?

では,どんなライバルがいるでしょうか。例えば,ある駅前でラーメン屋さんを開業するとしましょう。まず考えられるのは,駅周辺にあるラーメン屋さんです。もしかしたら何軒もラーメン屋さんがある激戦区かもしれません(ということは,「お客様がたくさんいる」とも考えられます)。

これらのラーメン屋さんが繁盛しているか,どんなラーメンをいくらで提供しているかなどが気になるでしょう (ライバル店を観察する際のポイントは後述します)。では他のラーメン屋さんだけがライバルでしょうか。ラーメンをファストフードととらえるなら,うどん屋さん,牛丼屋さんなどもライバルかもしれません。最近はコンビニエンスストアに売っている冷凍ラーメンも美味しくなっています。ライバルは同業のラーメン屋さんだけではないのです。

■ライバルを考える5つの視点

事業を取り巻くライバル関係を分析する際,ファイブ・フォース・モデルという分析手法が使われます。図1を見ながら次の5つの視点で自分の事業にとってどんな存在が脅威かを考えてみます。1同じ業界の競合他社2新規参入者の脅威3代替品,代替サービスの脅威4買い手の交渉力5供給者の支配力この 5つをラーメン屋さんで考えてみましょう。

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・同じ業界の競合他社 → すでに営業しているラーメン屋さん,ラーメン以外のファストフード店・新規参入者の脅威→自社の開店後に出店してくるラーメン屋さん ・代替品,代替サービスの脅威 → 冷凍ラーメン,高級なインスタントラーメン・買い手の交渉力 → 味や価格,店舗の雰囲気など,お客様は常に選べる立場にあること ・供給者の支配力 → ラーメンの材料が安定的に安価に仕入れられるかということ 買い手と供給者はライバルではありませんが,力を持っていれば自社の事業に影響を及ぼします。

 

■ライバルを観察する

ラーメン屋さんのように店舗を設置する場合は,やはり競合他社 の動きが気になります。競合他社は表1 のように「店舗の概要,立地, 雰囲気,客層/レイアウト,商品構成/接客,販売促進策」について観察します。 ライバルを観察する際は,できるだけ客観的に分析できるように 着目するポイントをあらかじめ決めておきます。また,調査のたびに方法や内容を変えては変化が読みとれなくなってしまうので,調査内容はシンプルかつ大切なポイントを絞り込んでおく方がよいでしょう。店舗を持たない事業の場合,実際にライバルを見て調査することはできませんが,さまざまな方法で情報収集をします。

 

■情報はどうやって収集する?

情報にはいくつかの種類があります。
(1)独自の情報とオープンな情報
前述した競合店調査のように,自らの目的で,自らの足で歩いて,目で見て収集した情報以外にも,企業のホームページや新聞,業界紙などオープンなリソースからも情報収集することができます。国勢調査や自治体の人口統計,業界団体の統計などはインターネットで公開されているものが多数あります。

たとえば,自治体のホームページには町ごとの人口統計などが掲載されています。区役所など に行けば,区内の人口数推移,男女別や年代別の人口構成比などについて,地域や町名でエリア分けしたデータを閲覧することができます。一般的に,独自の情報を手に入れようすると,時間とコストがかかります。オープンなリソースはコストがかかりませんが,目的に合わせて情報を整理するなどの手間がかかります。

(2)数値で表せる情報と数値に表しにくい情報
統計データは数値で表しているので,比較や推移が明らかです。 一方で,顧客の表情,店舗の雰囲気,販売促進策の効率などは数字では表しにくいものです。後者は評価基準を事前に決めおくことで適正な評価が行いやすくなります。どちらかに偏ることなく,バランスよく収集します。ライバルの観察や分析は,開店前は自分の事業の差別化のポイントを探るため,開店後は自店の課題を探り対策を立てるため継続的・定期的に行います。

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