■どのように売るかの作戦を考える

市場を細分化し,自社の商品やサービスを提供するお客様のイ メージができ,自社の位置づけが決まったら,次は,どのように売 るのかについて作戦を考えていくことになります。いわゆるマーケ ティング戦略は,誰に,どんな価値を,どうやって提供するのかを 決めて実行していくことです。

このうち,どうやっての部分を考え ていくにあたってポイントとなるのか次の4つです(=マーケティ ングの 4P)。 1販売する商品やサービス(Product):何を提供するか,という商品戦略 2価格(Price):いくらで売るか,という価格戦略 3販売ルート(Place):どのように届けるか,という流通戦略 4販売促進(Promotion):どのように知ってもらうか,とい う広報戦略 この4つのポイントはそれぞれを独立させて個別的に考えるもの ではなく,図 1 のように相互に関連させた最適な組み合わせとし て設定する必要があります。

4p

例えば,高品質な高級ブランド品として高価格で売りたい商品を, 激安量販店で段ボールに入れたまま店頭に並べても,なかなか売れないでしょう。上手に販売するためには,この4つのポイントがいかに整合的で矛盾なく設定できているかということがとても重要になります。

 

■何を売るか-商品・サービス戦略

良いモノであれば,何でも売れるのでしょうか。競争の厳しい昨今では,各社が工夫してそれなりの内容や品質のモノを販売しています。こうした環境の中で自社の商品・サービスを売っていくためには,単に自社が良いと考える商品・サービスを提供するだけではなく,お客様が総合的に受け取る価値やメリットといった,顧客にとってのニーズを満たすことを考える必要があります。 お客様が感じる商品やサービスの価値は,そのもの自体だけにあるのではなく,それに付随したサービス等を含む,図 2 のような 3 つの要素から構成されています。

1 つめは,その商品・サービスの「核」となる価値で,根本的な機能そのものです。例えば,冷蔵庫の場合は,ものを冷やすという機能,自動車の場合は,運転や運搬の機能ということになります。 お客様の本質的なニーズを満たす価値です。

2 つめは,商品・サービスの核に付随する「形態」で,デザインやパッケージ,品質やブランドといった,核となる機能に付随して価値を高める要素です。例えば,冷蔵庫では,インテリアになるような外観デザイン,自動車では,色やスタイル,安全性機能などに なります。

3 つめは,商品・サービスに付加されたアフター・サービスや保証,配送サービスなどの「付随的な機能」です。例えば,冷蔵庫では, 無料設置サービス,自動車では保証やカー・ローン等になります。

これら 3 つの構成要素の組み合せによってお客様のニーズを満足 させることになりますが,最適な組み合わせは,その商品の特性や 競争環境によって変化します。その商品の導入期には「,核」や「形態」の要素でお客様に魅力を感じさせることができても,市場が成 熟してくると「付随的な機能」による差別化が必要になってきます。

そのため,常にお客様がその商品やサービスのどのような要素を重視しているかを見極めておく必要があります。 例えば,理容・美容サービスは昨今成熟業界の1つとなっています。特に店舗過剰による過当競争が激しい環境にある地域では,カットやパーマといった「核」となるサービス,店舗の高級感や癒しの空間といった雰囲気づくりといった「サービス提供の形態」だけでは自社サービスを差別化しきれず,例えばスタイルが気に入らない場合は 10 日以内にカットし直しますというような技術保証サービスや,前回と同じスタイルのカットと新しいデザインのカットでは料金を変えるというように,もう一段の差別化が「付随的な機能」 の提供で行われるようになっています。

■いくらで売るか-価格戦略

商品やサービスは,安いから売れるのでしょうか。お客様の想定 よりも高すぎればもちろん売れませんが,安すぎる場合でも品質等 への不安やイメージの低下が生じて売れにくくなることもあります。 では,自社の商品やサービスの価格はいくらにしたらよいのでしょうか。販売価格の決定は,創業時だけでなく,商売を続けていくうえでこの先ずっとついて回る最も重要な経営課題の 1 つです。 値決めの優劣は企業の業績に直結するため,慎重な判断が必要になります。

販売価格の決定の考え方には大きく分けて図 3 のように 3 つの 視点があります。

1 つめは,お客様のニーズの視点です。お客様にとって納得感の ある価格かどうかはとても重要です。そのためリサーチにより「売れる価格帯」を探して値決めのベースにしたり,あるいは飛行機の 運賃や旅館宿泊料金のように,顧客層や時間帯等の需要動向によっ て価格を変える,といった方法があります。

2 つめは,競合の視点です。競合他社が自社と似た商品やサービ スを提供している場合,どのような価格帯にしているかを把握し, 自社の販売価格の参考とする必要があります。実際には自社の方が 多少優れた商品やサービスだったとしても,他社の類似品と比べて あまりにかけ離れて高い価格では,やはりお客様は他社の商品や サービスを購入する可能性が高くなります。

3 つめは,自社のコストの視点です。商品やサービスを提供するためにかかる費用を把握し,これに必要な利益を上乗せして販売価 格とします。費用の検証は時間と手間のかかるプロセスですが,自社の収益を確保するために欠かせない価格決定のための第一歩となります。ただし,この方法だけに頼ると,お客様が出してもよいと考えた上限価格よりも低く設定して利益を取り逃したり,反対に高くなって売れなくなったりといったことが起こる可能性があります。従って,適正価格の算出ではなく,最低限この価格以上とするラインを把握するといったスタンスで考えます。 販売価格の設定は,この 3要素を十分に検討し,お客様に受け容れられ,他社と比べて極端に不利でなく,かつ自社の利益を確保できる価格を探っていく必要があります。

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カテゴリー: 創業冊子ノウハウ

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