07どんな会社にするか〜事業の形態を決めよう

どんな会社にするか

事業の内容が決まったら,その事業をどのような形態で始めるか 考えてみましょう。事業の形態にはいくつか種類があります。それ ぞれ特徴が異なり,一度決めると変更に時間やお金がかかるため, ビジネスプランに合った形態を慎重に選びましょう。

 

■個人事業と株式会社の違い

まず一般によく知られている個人事業と株式会社について,それ ぞれの特徴をみていきましょう(表 1)。
(1)法人格 個人事業は,事業主(個人)が主体となって事業を行いますが, 株式会社は法人格を持つため,会社(法人)が主体となって事業を 行います。例えば,山田花子さんが花屋を始めるとき,「ヤマダ株 式会社」を設立すると,「ヤマダ株式会社」の名前で銀行口座を開 いたり,お店を借りる賃貸契約を結んだり,会社が主体となって契 約や事業活動を行うことができます。しかし個人事業として「ヤマ ダ花店」を開いた場合は「ヤマダ花店」に法人格はないため,「ヤマダ花店 山田花子」の個人名義で銀行口座の開設や契約をするこ とになります。

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(2)設立手続き
株式会社を設立するとき,定款と呼ばれる書類に会社の商号や事 業目的,本店所在地,資本金などの必要事項を記載します。そして, 公証人役場で定款の認証を行い,銀行で資本金の払込みを済ませ, 必要書類を持って法務局(登記所)で登記を終えると手続きが完了します。

定款は,会社の骨組みや運営方法など,会社のルールを定 めるものなので,十分に時間をかけて作成しましょう。設立後は, 定款の内容に沿って事業を進めていくことになりますが,途中で, 新しい事業を始めたり,本店の住所を変えたり,定款の内容に変更 が生じた場合は,その都度,変更手続きと費用が必要になります。

個人事業の場合は税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を 提出するだけで簡単に事業が開始できます。また,事業内容や住所も自由に変更できるため,手間や費用を低く抑えることができます。

(3)社会的信用
一般に,取引先や金融機関からの社会的信用は,法人の方が高く, 法人でなければ契約を結ばないという会社も数多く存在します。5 人以上の個人事業の場合,社会保険(健康保険,厚生年金)は強制 加入となりますが,小規模個人事業ではそれが強制されません。そ のため,従業員を採用したいと思っても福利厚生を重視する人が集 まらず,良い人材が採用しにくいというデメリットがあります。

(4)どちらで始めるか 株式会社は,設立に時間や費用がかかり,定款の範囲内で事業を 行うため自由さが制限されるという点はありますが,信用力が高い というメリットがあります。事業開始後すぐに多くの会社と取引し て事業を拡大したい場合や取引したい会社が法人のみと契約を行っ ている場合,個人では必要な許認可が受けられない場合などは,株 式会社でのスタートとなるでしょう。

一方,個人事業は,株式会社より信用力は劣るかも知れませんが, 顧客のニーズや時代の変化に合わせ,アイディアをすぐに行動に移 すことができます。小さい規模から事業を始めたい場合,事業主の個人的な繋がりで仕事をする場合は,個人事業からスタートしても 良いでしょう。 最初は個人事業から小さく始め,事業が波に乗ったら株式会社に 変えることもできます。売上が増えて利益がたくさん出るようにな ると支払う税金も増えてきます。個人事業と株式会社では税金の計 算方法が異なっており,ある程度の利益を超えると株式会社の方が 税金を低く抑えられるため,このタイミングで法人化することも 1 つの方法です。

 

■法人の種類

次に株式会社以外の法人について,代表的なものを紹介しておきます。

(1)NPO 法人

NPO 法人は,特定非営利活動法人のことで,非営利活動を主な 目的としています。「非営利」という言葉からよく営利活動,すな わち儲けてはダメと誤解している人がいますが,「非営利活動」と は事業活動で得た利益を社員(NPO 法人の構成員)で分配しない で団体の活動目的のための費用にあてることを意味していますか ら,収益事業を行って利益を出すことに何ら問題はありません。

ただしその事業内容は「保険,医療または福祉の増進を図る活動」や「社会教育の推進を図る活動」など 20 項目に限定されています。 また NPO 法人の設立には 10 人以上の社員が必要で,登記のほ かに所轄庁(都道府県知事など)の認証も必要となるため設立まで に数ヶ月を要します。そして設立した後は,正当な理由がない限り参加希望者の加入を断れない,毎年の事業報告書等の公開義務があ るなど運営の自由度は低く,金融機関からの融資が受けにくいなど のデメリットもあります。

しかしその一方で株式会社の資本金にあたる必要財産を用意する必要はなく,申請手数料や登記手数料はか からない,非営利活動のため広く一般の協力を得られやすい,といっ たメリットもあります。

(2)一般社団法人(一般財団法人)

一般社団法人(一般財団法人)は,営利活動を目的としない社団 法人(財団法人)であるため,事業で得た利益などを社員で分ける ことはできません。しかし,事業内容に制限はなく,公益性の有無 は問われないため,収益事業を含む幅広い活動をすることができます。

また設立にかかる期間は 2 ~ 3 週間ほどで,設立費用は 11 万円程度となります。両者の違いは,一般社団法人の場合は 2 名 以上の社員が必要となるものの財産の拠出が必要ないのに対し,一 般財団法人の場合には,設立者 1 名以上と 300 万円の財産の拠出 が必要となります。

(3)合同会社

合同会社は,株式会社と比べると設立手続きが簡単で,株主総会 や取締役を置かないこともできるため,経営に関する物事を早く決めることができます(表 2)。また,会社の利益が出たときに,資 本金の出資比率ではなく,会社への貢献度などに応じて利益を配分することもできます。そのためそれぞれの個人が技術力やノウハウ を持ち寄って新しい事業を始める場合,士業同士が連携して事業を 行う場合などに向いています。

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