事業計画を立てることで,どういったお客様に,何を,どうやって提供するのか,少しずつ明確になってきましたね。次は,事業に取り組んで儲けるという観点から売上計画・利益計画について見ていきましょう。

■未来を予測する

英国ロンドンビジネスクールと米国バブソン・カレッジが中心と なって世界規模で起業家にアンケートを行いました。その中で起業 してから事業が安定するまで平均 1.6 年かかった,という調査結果 がでました。平均 1.6 年は想定内でしょうか?それとも,想定外の 長期間でしょうか? 通常は起業後,起業家は 1.6 年の間に次の3 つの段階を経験します。

・費用だけが発生し,売上がたたない状態

・売上はたつが売上より費用の方が大きい状態(売上<費用)

・売上の方が費用より大きく利益も出る状態(売上>費用)

できる限り短い期間で「売上の方が費用より大きく利益も出る状 態」に到達するために,事業計画と売上利益計画は何度も見直す必 要があります。特に,一番辛い期間である「売上が立つが売上より 費用の方が大きい状態」をいかに短くするかがポイントです。事業 計画と売上利益計画によって,一番辛い期間をどうやって乗り切る か見えていれば,当初のモチベーションを保ったまま事業に取り組 むことができます。

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■「売上 > 費用」の状態になるために

「売上の方が費用より大きく利益も出る状態」を実現するために, ここで売上と費用,利益の関係について整理してみましょう。「売 上の方が費用より大きく利益も出る状態」になるには次の 3 つの パターンがあります。 ・売上を大きくして,費用を超す(売上↑,費用→) ・費用を小さくし少ない売上で利益を出す(売上→,費用↓)

【図 1 利益=売上-費用】

・月々の売上と費用の差を少なくする

(1)売上を大きくして,費用を超す
図 1 のように利益は売上から費用を引いた残りです。売上より 費用が大きければ直ぐにお金が枯渇して倒産してしまいますから, 売上を大きくする必要があります。

(2)費用を小さくし少ない売上で利益を出す
起業直後では,「売上を大きくする」ことも困難です。そこで「,費 用を小さくして,小さい売上でも利益を出す」方針で考えてみましょ う。費用は,売上に比例する費用(変動費)と固定して発生する費 用(固定費)の 2 つがあります。固定費を小さくする(変動費型) ことで,小さい売上でも利益を出すことができます。

(3)月々の売上と費用の差を少なくする

大きな売上がある月と全くない月と大きく変動させた場合,売上 が全くない月の支払いには別途使うはずだった事業運転資金を当て ることになります。そのため,できる限り月ごとの売上の変動を押 さえて売上を確保していくことが重要になります。

 

■売上利益計画

それでは,いよいよ売上利益計画を作ってみましょう。ここでは, 売上利益計画で代表的な月次損益計画書を例に説明します。月次損 益計画書のイメージは表 1 のとおりです。 売上利益計画を考えるときは,経営の安定に影響しない範囲なら大 まかな情報で十分です。

 

■計画の立て方

それでは,売上利益計画書に売上と利益の数値を記入してみましょ
う。具体的な売上利益計画は次の順で進めていきます。
1固定費を算出する
2売上高総利益率(粗利率)を算出する
3年間で必要な売上高総利益額を決める
4年間で必要な損益分岐点売上高を算出する
5固定費+必要な利益を月割りで割り振る
6損益分岐点売上高を月割りで算出する
7曜日や月,季節のイベントで売上を実態に近づける
8売上利益計画が事業計画と外れていないかチェックする

専門用語について簡単に説明すると,1「固定費」とは売上に関係なく必ずかかる費用です。例えば,人件費や家賃などですね。

2「売上高総利益率(粗利率)」とは,売上から原価(変動費)を引い た利益です。商品を 1 つ売ったら売上と原価の差がどれだけでるか, を比率(%)で表します。

4「損益分岐点売上高」とは,固定費を 粗利益率で割ったものです。損益分岐点売上高が分かると,事業を 継続するために最低必要な売上が把握できます。

 

■売上計画・利益計画の作成上の注意点

売上計画・利益計画を立てるうえでの注意点は次の 3 点です。

A 3 年間の計画を立てる

事業を立ち上げる場合には,1 年だけでなく 3 年間の計画を立て てみましょう。どうしても創業直後は赤字が続きます。「なんとか なる」ではなんとかなりません。1 年で黒字になる無理な計画を立 てるよりは 3 年間で黒字になる現実的な計画を立てましょう。

B 利益が少ない(累積赤字が資本金を超えないように)

利益が少ない場合,そもそもその事業を始める意味があるのかが 問題になりますね。そこで,固定費や利益率,費用などを見直し, できる限りシンプルに事業に取り組むように計画を立て直してみて ください。

C 生活費と事業資金

自分の生活費を自己資金に含めたり,開業後の費用に自分の給与や生活費を含めて試算したりする人がいますが,生活費と事業資金
はまったく別のものです。手元にあるお金がすべて生活費にできるわけではないので,注意してください。

事業計画に描いた夢は実現したいですよね。数字の入った夢は説得力があります。自分の夢を実現するために,売上と利益とバランスを取りながら現実的な数字を入力していきましょう。

カテゴリー: 創業冊子ノウハウ

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