06 売り方と宣伝方法〜どうやって届け、知ってもらうか

No.6 売り方と宣伝方法〜どうやって届け、知ってもらうか

中小企業診断士 村上知也

◯誰に届けるのか?

売り方と言うと、どのように広告・宣伝をしようということに意識が向きがちです。しかし、No3で顧客を定義したように、最初に“誰に”情報を届けたいのかを明確にする必要があります。そうでなければ、世の中の人全員に情報を届ける必要があり、無駄にコストがかかってしまいます。

テレビなどのマスコミで紹介されると急速に知名度が上がるでしょう。しかし、まんべんなく多くの人に情報が伝わるだけで、本当に伝えたい人に伝わらなければ意味がありません。

 

◯ターゲットを明確にすると届け方がわかる

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例えば、「パソコンを長時間利用した時に目が乾燥しないようにブルーライトをカットするメガネ」をご存知でしょうか。今では多くのテレビコマーシャルで宣伝されています。しかし発売当初はインターネットでの広告が中心でした。それもIT関連企業に勤務する人がよく見るWebメディアに絞って広告が実施されていました。その理由を考えてみます。

パソコンで仕事をする人は、パソコンから目にブルーライトを浴びるため、目が乾燥してしまいます。つまりこのメガネは、パソコンを長時間使う人がお客様候補であると言えます。そういった人々はIT関連企業に在籍している可能性が高いでしょう。だからこそ、IT関連のWebメディアに優先的に広告を実施したと考えられます。
また、ターゲットを絞ると広告の中身も考えやすくなります。広告の中のモデルはIT関連で働いているようなイメージの人を選べばいいでしょうし、背景もIT関連のイメージになるでしょう。
このように、ターゲットが明確にすることで、より効果が高い広告・宣伝が実施できるのです。

◯何を届けるのか?

もちろん、宣伝の目的は、商品やサービスの情報を届けることになります。ただし、常に自分が顧客だったらという立場に立って考える必要があります。あまりにも売り込み色の強いメッセージを受け取ったら辟易としないでしょうか?顧客にとって役に立つ情報を届けることを一番に考えましょう。

◯売り込みは最小限に

今度は製造業で考えてみます。製造業の情報発信でよく見かけるのは、「うちにはこんな技術があります」「うちにはこんな設備があります」など、自分の会社のことばかり発信しているところです。もちろん、世界に一つしかない技術を持っているのであれば、これで十分かもしれませんが、多くの場合は競合が存在し、同じような技術を持っているでしょう。数多くの競合の中から選ばれるにはどうしたらいいでしょうか?

そのためには、自社の言いたいことだけを発信するのではなく、顧客が求める情報を発信することが必要です。例えば、顧客から自社保有の技術を使うためのポイントなどをまとめて発信するのはどうでしょうか?また、その技術を使うメリット・デメリットを整理して、発信してみるはどうでしょうか?顧客が何を求めて情報を求めているのかを考えることで、自社の発信する情報も明確になるのではないでしょうか。

◯業界が変わっても情報発信の本質は変わらない。

小売やサービス業であっても、自社の商品やサービスの説明をするだけでは、顧客の心は動かせません。例えば今度は企業向けのノベルティを販売している会社について考えてみましょう。ノベルティ用の商品として、ボールペンなどの文房具をWebに掲載したとします。しかし、これらの商品は世の中に数多くの種類があり、価格もさまざまです。ノベルティとしてボールペンを探している顧客は、色んな所で価格比較しながら商品を選ぶでしょう。そうすると圧倒的な商品力が無い限り、価格が安いことが一番の選定要素になってしまいます。多くの中小企業は価格では大手の競合に勝負できるはずがありません。

◯顧客ごとに欲しがる情報を届けよう

ではどうすればいいでしょうか。顧客の立場に立って顧客が選びやすいようにする必要があります。最初に顧客をイメージします。ノベルティを購入する会社や団体にはどんなところが多いのか販売データから分析します。例えば、分析した結果、顧客に老人ホームが多かったとします。そうすると、老人ホームでどのようにノベルティが使われるのか事例を交えて説明してみるといいでしょう。「ボールペンはいかがですか?」ではなく、「老人ホームでのクリスマス会の商品にこんなボールペンを配るのはいかがですか?」とより具体的に情報発信をしていきます。老人ホームの担当者が今年はノベルティ何を配ろうかなと、考えているタイミングで情報を見れば購入してもらえる可能性は高くなるのではないでしょうか?

◯どうやって届けるのか?〜ネットとリアルのバランス

情報発信には、Webやソーシャルメディアといったネットのもあれば、営業や、チラシといったリアルのものもあります。誰に届けたいのかによって使い分ける必要があるでしょう。例えばあまりパソコンを使わない高齢者をターゲットにしているのに、Webでしか情報発信しないのであれば、情報は届かないでしょう。顧客ターゲットが集まる場所、例えば病院や老人ホームなどに、営業をして紙のチラシやパンフレットをおいてくるほうが効果的といえるでしょう。

◯メディアによって役割は違う

Webは基本的に、顧客がやって来るのを待っているメディアです。(PULLのメディア)創業当時のお店や会社には、なかなか訪問者が来ないのは当然でしょう。まずは、メールや、ソーシャルメディアといったすでに知り合いやその友人にきっちり情報を届けていくのが有効です。(PUSHのメディア)

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しかし、Webがないというわけにもいきません。Webがない企業やお店は信頼感が下がってしまうためです。名刺交換をして、仕事を依頼しようと思ったら、まず相手の企業を調べますよね。この時に、社名で検索されてWebがないと、「ほんとにちゃんとした会社かな?」と心配になってしまうわけです。

◯まとめ

創業時には、最低限、存在証明としてのWebを作っておく必要はあります。しかし、その後、顧客や届けるべきメッセージが明確にしつつ、随時Webを変更して情報発信していく必要があるといえるでしょう。
自社の顧客ターゲット(誰に)をと、自社のメッセージ(何)を明確にして、どのように伝えるべきか、ネットとリアルをバランスよく考えて、“継続的”に情報発信していくことが、自社の宣伝を成功させるコツといえるでしょう。

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